成年後見制度研修会”意思決定支援を考える”(兼北区地域包括支援センター「地域ケア会議」)を開催しました 💻

掲載日:2021.03.19

3月12日(金)、専門職を対象とした成年後見制度に係る研修会をオンラインで実施しました。

千歳市成年後見支援センターと千歳市北区地域包括支援センターとの共催で開催し、「地域ケア会議」という形で実施しました。

今回の研修会では「意思決定支援」の現場において大切なこととは何か!について、北区地域包括支援センター長 富永氏より事例提供をいただき、助言者には苫小牧市成年後見支援センター長 古川義則 氏をお招きし、事例検証を行いました。

 

 

 


 

意思決定支援の難しさがあるの中、支援現場では何を重視し、チームとしてどのような支援・プロセスを経てきたのかをざっくばらんに話し合い、支援者として早期解決のためにもがきながらも、その「過程」を大切にし支援が行われていた様子が伝わる内容となりました。

今後も支援の中で、難しい意思決定支援に直面することが多々あるかと思います。さまざまな職種がひとつのチームとして継続的に支援し、ご本人自ら意思決定できる支援と環境が広がっていくためにも、今回の研修会は大変有意義なものとなりました。

 

福祉系の職種に限らず、薬剤師や看護師などの医療系や、弁護士や司法書士など法律系の職種の方々など、週末の夜間の開催にも関わらず、千歳市内・市外から30事業所70名を超える方から参加をいただきました。

今後の多職種連携を目指す地域支援ネットワークの基盤づくりにつながる研修会となり、ご参加いただきました皆様に心より御礼を申し上げます。

 

ご参加いただいた皆様からの感想等を一部ご紹介いたします。

〇現在の業務においてヒントになったこと、活用できると思ったこと

・本人中心主義の支援、複数職種での情報共有を都度行っていく必要性。

・認知症や先天性疾患などにより意思決定が難しい患者さんとの対応では、関わっている専門職での情報共有の記録が必要。

・本人の意思尊重がとても重要だと改めて実感。

・本人の意思決定能力は、本人の個別能力だけでなく支援者の「支援力」によって変化する、という言葉が印象に残った。

・シンプルなことだが、困ったときほど原点に戻り、当事者の意思決定を大事にすること、対「人」として真摯に対応していく事の大切さ。

・権利擁護といいながら、権利侵害していないかという言葉が印象的。

・どのように関係性を築いていくのか勉強になった。

・個別のスキルや経験も大切であるが、そのうえでチームアプローチが必要であり、誰が支援に関わっても同様にベストの支援ができるためのチームづくりが大切。

 

〇事例報告・事例検証でよくわからなかったこと

(質問)ゴミ屋敷の処理・片付けは行政で行ったと思うが、料金は本人負担となるのか、行政負担なのか。

(回答)現在までのところ、住宅内の処理・片付けは行っておりません。借家の退去や借金返済などの対応を含めて、法テラスを用して弁護士に相談中です。

 

(質問)緊急入所までの間、食糧支援をされたとのこと、大事な支援と考えるが食糧費はどのようなところから捻出されたのか。

(回答)千歳市社会福祉協議会が実施する「非常用食料品緊急支給サービス事業を活用しました。千歳市民のうち低所得のための入手が困難で緊急的に食料支給の援助が必要な世帯」を対象に支給するもので、財源は赤い羽根共同募金の配分金が充てられています。

 

(質問)権利擁護(成年後見制度)をなぜ利用しなかったのか。

(回答)相談当初、年金通知書や預金通帳等が手元になく財産状況が不明なことから、司法書士の先生の提案でご本人と司法書士との間で「財産管理委任契約」を締結して、財産状況の把握を優先して対応しました。ご本人の判断能力は軽度認知障害(MCI)との診断がありましたが、面談では明らかな認知機能の低下は見られませんでした。

「財産管理委任契約」は精神上の障害による判断能力の減退がない場合でも利用ができる民法上の委任契約の規定にも基づく制度で、将来的に成年後見制度利用も検討しながらの支援となりました。

 

※「財産管理委任契約」とは

自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決めて委任するものです。財産管理委任契約は精神上の障害による判断能力の減退がない場合でも利用できます。

 

〇意思決定支援で困っていること

・認知機能低下の方の意思決定支援

・認知症とパーソナル障害、また家族の意思

・実際に思っていること、言葉に出されることに相違があるときに、どうやって本音を引き出し支援していくと良いか

・認知症の方の思いや生きがいについて答えが見えないとき

 

〇今回の研修で特に印象に残ったことや学べたこと

・北区地域包括様のサポートはとても頼りになる。

・意思決定を繰り返し行うことや、1日の流れを把握することに当たり前のことだが、盲点であると感じた。

・支援者が一人で抱え込まずに、周囲の関係者への相談の共有という部分については、自分の中でも意識していくべきところだと感じた。

・成年後見制度について理解を深めなければと感じた研修だった。

・ご本人の意思決定を引き出すため、支援者との関係づくりがとても大切だと感じた。不衛生な環境下でも飲食を共にする、さすがだと感じた。

・権利擁護の難しさを痛感した。自分たちの物差しが狭いと不適切としてしまいがちなことが実に多いのではないか。より慎重に関わっていきたい。また、記録もきちんと残していきたい。

・普段、成年後見制度を利用するような支援にはあまり関わらないこともあり、気になって受講した。多くのスタッフが関わり、連携し合いながら信頼を得て進んでいくのは、どの支援も必要だが、おろそかにしてしまってはいないだろうかと改めて考えさせられた。

 

 ほかにもたくさんのご感想をいただきました。ありがとうございました。





最後にWi-Fi環境の不安定さやマイクの聞き取りにくさなどご不便をおかけした点がありましたことをお詫び申し上げます。

次年度以降も意思決定支援を含む権利擁護をテーマとした研修等を検討して参りますので、是非ご参加をお願いいたします